子どものためのリアリティ

午後、嫁さんとともに、1ヶ月半後に迫った下の娘の吹奏楽部のヨーロッパ公演の説明会に参加。
生徒と保護者を会わせて150名以上となる巨大ツアーをコーディネートする旅行会社と顧問先生のご苦労ぶりが十分に伺えた。
幸い、バンドの調子は春の定演以降日に日に向上しているとのこと。現地での演奏機会も合計5回に増え、部員たちも、自分たちがオーストリアの地で、ヨーロッパの人たちを前にして演奏する姿のイメージが少しずつリアルになってきているのかも知れない。


ところが、そのリアルさを勘違いしているのが、一部の保護者である。


出発日の空港でのチェックインは個人的に済ませて、出発時間までの間は空港内の免税店でゆっくりとおみやげを物色したい。
公演時に配られるであろうパンフレット(おそらくはドイツ語で書かれているものと思う)を日本語に訳して欲しい。
旅行保険の申込書の記入例を作って欲しい。
旅行代金の振込期限日の設定理由を聞かせて欲しい。
最終の詳細案内冊子はいつ届くのか正確な日付を教えて欲しい。そして当然それは振込期限日よりも前でなければ困る(そうでないと代金を支払う決断ができない、という意)。
ウィーンでの自由時間を子どもと一緒に過ごしたい。


相変わらずアホだ。
そもそも、今回のツアーは誰が主役なのかを全く理解していない。このツアーで、子どもたちがどんな経験をするのかということを、もう一度真剣に考えて欲しい。
それに、これは個人ツアーではない。100人近い高校生、中学生をヨーロッパに引率しようという難易度の高い案件に関わる方々に、どうして更なるワガママを注文しようとするのだろうか。
高い旅行代金を払うのだから、これらは当然の要求だと思っているのだろうか。
(旅行会社のプランに希望を述べるべきではない、ということではないが)
子どもを私立の中高一貫校に通わせている保護者として、あまりにも意識が、いや、もっと言えば、社会人としての一般常識がなさすぎる。


このツアーが一部のジコチューな保護者によって歪められることはないものと思うが、静かなオーストリアの地で、本当に気持ちの良い、子どもたちの一生の宝物となる経験となることを、改めて切に願う。