「赤い指」

赤い指 (講談社文庫)

赤い指 (講談社文庫)


そう言えば最近読後感想をアップしていませんでしたが、本はちょこちょこと読んでいました。


(以下、順不同)
「還るべき場所」笹本稜平
プリンセス・トヨトミ万城目学
「さよならドビュッシー」中山七里
流星の絆東野圭吾
日輪の遺産浅田次郎
等々…


「還るべき場所」には高揚感があり、「プリンセス・トヨトミ」には独特の世界観がありました。
「さよならドビュッシー」はおぉ、と唸りましたし、「流星の絆」は以前に観たドラマ(二宮くん主演)を思い出しながら楽しく読み進めることができました。
そして「日輪の遺産」は本当に読んでよかったと思いました。
(この本が「地下鉄に乗って」より前に書かれていたことを後で知り、そんなに前に書かれていたのかとびっくりもしました)
ただ、仕事が何とも慌ただしかったことなどがあり、ここに何某かのコメントをアップする気持ちになれずにいました。


そして、つい先日、上の娘から「おとーさん、これすごく面白いよ」と言われて読んだのが「赤い指」でした。
最初は、シチュエーションが厳しすぎたり主人公の一家の様子がもどしすぎて読むことが苦痛でしたが、途中から「この話は一体どこに行くのだろう?」という疑問と興味が沸き立ち、読む速度が加速度的になり、最後のどんでん返しには本当に「えっ……(絶句)」となりました。
(しかも1つではなかった)


子を思う親の気持ちが異常な溺愛に変わるプロセス、父親と母親の立ち位置、視点のちがい、その親もまた子どもであること、子どもとして親の本当の思いを知ること…
さらにこの本が練り込まれているのは、親子の関係性を、殺人事件に関わった一家だけでなく、刑事である加賀恭一郎の言動からも語って見せている点にあると思います。


読後感としてはいろいろな感情が入り交じっていて、正直なところ、親子の関係や子どもの教育、親の介護などについて考えさせられた…という感想は出てきません。
ただただ、ミステリーそのものではなく登場人物の状況設定と描き方に本当にびっくりさせられたという意では、今まで読んだ東野圭吾の作品の中で最も衝撃的だった、ということです。


遅まきながら、この本が今年のお正月にドラマ化されていたことを知りました。
そのうちに上の娘がDVDを借りてくることでしょう(笑)。
多少の失望は味わうでしょうけれど(失礼)、阿部寛の加賀恭一郎はイメージに合っていますので、ぜひ娘と一緒に観たいと思います。