批判力

気になるのは、三浦氏が社会階層の格差拡大を加速させているのは個人の意欲やコミュニケーション力とするところだ。下流社会にいる人は積極性がなく、人と満足なコミュニケーションもとれないというような分析がなされるとき、それは「当人の責任」と見なされても仕方なくなる。社会問題が、半ば心理学化され、個人化される。システムへの批判力が霧消する。

金森 修(東京大学大学院教授)
朝日新聞2005年12月30日朝刊 「2005年の予感 今年見えた10年後は」より
これは、三浦展氏の著書「下流社会」を評した言葉です。
ワタシは最初から何となくこの本を読む気になれずにいるのですが、『システムへの批判力』という言葉には共感するものがあります。うがった言い方をすれば、マーケターである三浦氏は自分の著作の売り方を知っていて、それに対して大学教授が大学教授らしい視点で批評をして見せた、ということでしょうか。
(ただ、金森氏は「下流社会」の中にあるユーモアを評価してもいます)


“批判的に見る視点”と“否定的に見る視点”とは違います。
しばらくしたら、この本を読んでみようかと思います。